

ACM日本支部
~パンデミックの経験と録画審査~
そしてこれから
2020年、試練の年
2020年、春の試験を控えたある日、
アメリカ本部から連絡が入りました。
「中国で感染症が拡大している影響で、審査員を日本に派遣できません。」
それは突然の知らせでした。
しかし、日本での感染が広がるにつれ、
アメリカでも感染拡大が猛威を振るい、審査員が安全に渡航できる状況ではなくなり、
来日の中止が現実味を帯びてきました。
「こんなことは初めてで、どうしていいのかわからない。でも、生徒たちは一生懸命練習して、演奏の準備を整えてきた。このまま試験を中止にして、演奏できないのは・・・。」
試行錯誤を重ね、これまで病欠対応として行っていた録画審査を本格的に導入する決断をしました。
こうして新たな形式での試験が始まり、
生徒たちの努力が無駄にならないよう支えるための第一歩が踏み出されたのです。
録画審査の力
パンデミックが世界を包む中、学校も部活動も止まり、
日々の生活が制限される中で、変わらず続けられるものがピアノだという子たちもいました。
「目標があるからがんばれる」「何もできない中で、ピアノが支えになった」――
生徒たちから届くそんな声に、指導者たちは「続けていてよかった」と心から思いました。
ギルド試験は、細やかな規定と柔軟な対応を兼ね備え、
どんな困難な状況下でも生徒たちの努力を支えます。
特に録画審査が生み出した新たな価値は、
ギルド試験が持つ可能性と、未来への希望を改めて示してくれました。
未来に向けて
日本支部が発足してから10年。
あの2020年のパンデミックから、幾度かの季節が巡りました。
社会が大きく変わる中で、
ピアノ教育を取り巻く環境も少しずつ形を変えてきました。
けれど、指導者たちの思いは変わりません。
「生徒たちに寄り添い、音楽を通じてその未来を支え続けたい。」
ギルド試験は、音楽を愛するすべての生徒たちに寄り添い、
夢を奏でるその手を後押しする存在であり続けます。
どんな時代でも、音楽が持つ力を信じて、
未来へ向かって歩み続けていきます。