
アメリカの音楽教育では、「ドレミ」よりもアルファベット表記の「CDE」 の方が、子供たちの学習の中で一般的に使用されています。
今日は、その背景について少しお話ししたいと思います。時代は17世紀にさかのぼり、ここからスタートです。
・ アメリカの音楽教育で「CDE」の表記が広まった理由とは?
・ 「ドレミ」との違い、文化的な背景は?
そんな視点から、アメリカの音楽教育の歴史 を紐解いてみます。
17世紀は、西洋音楽にとって、音楽理論や楽器の発展が進んだ、非常に重要な時代でした。
この時期、音楽の記譜法や音階の理解が大きく変わり、特に「C, D, E, F, G, A, B」といったアルファベットによる音名体系が確立され、音楽理論の基盤が大きく整理されたといわれています。
というのも、17世紀はバロック音楽の黄金時代でもあり、音楽家たちは音楽の構造や音程の関係をより明確にするために、アルファベットを使って音名を表現する方法を普及させ、これが音楽理論の標準的な方法として定着したようです。
音名を「C, D, E, F, G, A, B」と表記する方法の起源は、古代ギリシャ音楽理論にさかのぼります。この方式が実際に広く使用されるようになったのは、中世とルネサンス時代の終わりごろでした。
特に、中世イタリアの音楽教師 グイード・ダレッツォ(Guido d'Arezzo, 991–1050年) は、現在の楽譜記譜法の原型を考案し、「ut, re, mi, fa, sol, la」といったラテン語の音名 を提案したことで知られています。
この音名は後に「do, re, mi…」へと変化し、西洋音楽の基礎として広く普及しました。
西洋音楽史を学ばれた方にとっては、馴染み深いお話 かもしれませんね。
その後、17世紀に入ると、音楽の記録や理論がさらに整理され、 音階の音名をアルファベットで表す方式 が一般的に使用されるようになりました。
これにより、アルファベット音名体系 は音楽理論の基本的な手法として確立し、現在に至るまで広く使われています。また、17世紀は音楽理論書が多く出版された時代 でもあり、これらの書物は音楽教育や実践に大きな影響を与えた といわれています。
特にフランスやイタリアでは音楽理論の教授法が体系化され、アルファベット音名の使用がさらに普及し、音楽家たちは、和音や音階、調性について深く掘り下げ、その記録方法としてアルファベット音名を使用しました。
17世紀後半には、音楽教育においてアルファベット音名(「C, D, E, F, G, A, B」)が広まり、音楽家たちはこれを用いて楽譜を読み書きするようになったといわれています。
この方法は、音程や和音、調性を理解しやすくするため、音楽理論の学習をより体系的に行えるようにし、音楽家たちの実践に大きな影響を与えました。特に調性の理解や楽器演奏において非常に便利であり、音楽の国際的な発展に寄与しました。
さらに、19世紀の後半には、ヨーロッパの音楽理論がアメリカに導入され、アルファベットを使った音名体系が広まりました。
この影響は、アメリカでの音楽教育やクラシック音楽の教育においても採用され、アルファベット音名が標準的に使われるようになりました。
今日では、アメリカを含む多くの西洋音楽圏では、音名をアルファベット(C, D, E, F, G, A, B)で表す方法が広く使用され、音楽教育や楽譜において標準となっています。この体系は、音楽理論における基本的な方法として、多くの国で普及しており、国際的に広く受け入れられています。
したがって、アメリカでアルファベット音名が使われる背景には、ヨーロッパの音楽理論の影響があり、時代を経てこの方法が定着したという歴史的経緯があります。
このように、アメリカでの音楽教育において、アルファベット音名体系は確立され、現在もその影響を受けた音楽教育が行われていることがわかります。本日はここまで。
米国ピアノ指導者団体
ACM日本支部
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