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習い事から見る日本とアメリカのピアノ教育の違い

執筆者の写真: ACM日本支部ACM日本支部



2025年3月9日、米国ピアノ指導者団体ACMが主催する米国ギルド・ピアノ検定試験の日程が発表されました。そこで今回は、「習い事から見る日本とアメリカのピアノ教育の違い」について、少しお話ししてみたいと思います。


アメリカと日本では、習い事の文化に違いがあり、それぞれの目的やスタイルに特徴が見られます。


例えば、アメリカの視点から日本の習い事文化を見てみると、時代とともに変化はしてきていますが、「基礎をしっかり身につけ、長く続けること」が大切にされているのが特徴です。ピアノ教育においても、それは変わらず、じっくりと学ぶ姿勢が重視されているように感じます。


一方、アメリカでは「楽しむこと」や「個性を伸ばすこと」が大切にされており、ピアノ教育においてもクラシックだけでなく、ポップスやジャズを取り入れることが一般的です。また、コード伴奏や即興演奏を学ぶ機会も多く、自由な発想で音楽を楽しめる環境が整っています。


日本では、ピアノを習う際には個人レッスンが主流で、基礎練習(ハノンやバイエルなど)を大切にしながら技術の向上を目指すことが多いですが、アメリカでは学校のバンド活動や地域の音楽プログラムと結びつくことも多く、仲間と一緒に音楽を楽しみながら学べる機会が豊富にあります。


習い事の種類にも違いがあり、日本ではピアノ、水泳、書道、そろばん、英会話、学習塾、武道(空手・柔道など)が人気で、特にピアノは女の子に人気があります。


一方、アメリカではサッカー、野球、バスケットボール、アメリカンフットボール、チアリーディングなどのスポーツ系が主流で、ピアノのほかにギターやドラムなどの楽器も人気があります。


もちろん、これらはあくまで一例であり、地域やご家庭の考え方によって習い事の選び方はさまざまです。 それぞれの国の文化や価値観が反映された習い事のスタイルは、子育て中の保護者の方にとっても、きっと興味深い内容ではないでしょうか?


また、レッスンの頻度も異なり、日本ではピアノを含めた習い事は週1回30~60分が一般的で、自主練習が求められるのに対し、アメリカでは週1回30~45分程度のレッスンで、家庭での練習は推奨されるものの厳しく管理されないこともあります。


さらに、費用面でも違いがあります。日本のピアノレッスンは、月謝制で比較的手頃な価格帯(月5,000~15,000円程度)が一般的です。


一方、アメリカでは1回のレッスンが$50~$100ほどと高めの設定になっていることが多く、さらに月謝制ではなく、セメスター(学期)単位でまとめて支払うスタイルの習い事も珍しくありません。


それぞれの国で異なる習い事のシステム、とても興味深いですね。


また、学校との関係も異なり、日本では音楽の授業でピアノを扱うことはあっても、専門的な教育は外部のピアノ教室で受けるのが一般的ですが、アメリカでは学校のバンドやオーケストラでピアノを担当することがあり、学校の活動と習い事が結びつきやすい傾向があります。


競争意識の面では、進級や実力向上が重視されるのに対し、アメリカではコンクールに参加する子どももいるものの、「楽しむためのピアノ」も多く、必ずしも競争を求められるわけではありません。


そのため、アメリカでは無理なく長くピアノを続ける子が多く、たとえ大学で音楽を専攻しなくても、高校生の時点で音大レベルの演奏ができる生徒が一定数いることも特徴のひとつです。


また、アメリカには ACM(American College of Musicians) が主催する the National Guild of Piano Teacher`s Playing Audition (米国ギルド・ピアノ検定試験)があり、1929年の創設以来、現在まで続いています。


ACMはピアノ指導者団体として、子どもたちが自ら学び、挑戦することを大切にしており、長年にわたり多くの生徒や指導者に受け継がれてきました。 これは、ACMが長い歴史の中で積み重ねてきた豊富な経験や工夫によるものであり、アメリカの習い事文化の一環として根付いています。


競争を目的とするのではなく、「継続して学び続けること」 を大切にするプログラムでもあるため、ピアノを長く続けられる環境が整えられているのも特徴です。


このように、日本のピアノ教育は「基礎をしっかり固め、段階的に上達を目指す」のに対し、アメリカのピアノ教育では、「音楽を楽しみながら学び、自分らしいスタイルで演奏する」ことが大切にされています。自由な表現を大事にしつつも、指導者はその中にしっかりと基礎を取り入れ、バランスの取れた学びを提供しています。


どちらのスタイルにも良さがあり、目的に応じて選ぶのが理想的でしょう。そして子どもたちがその時々の成長や環境に合わせて、自然に音楽と向き合えるように。 文化の違いを超えて、ピアノを学び続ける選択肢を広げられるよう、米国ピアノ指導者団体ACM日本支部は、日本での活動を大切にしています☆


米国ピアノ指導者団体

ACM日本支部

 
 
 

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